新聞購読と内閣支持率について

佐藤栄作首相は1972年の退陣会見で「偏向的な新聞は大嫌いだ」「国民に直接話したい」と発言。抗議した記者は会見場から退席し、佐藤氏はNHKのテレビカメラに向かい独りで話した。

安倍晋三政権の閣僚はこうした「新聞嫌い」を想起させる。菅義偉官房長官は最近、特定の新聞記者の質問を「取材でなく決め打ち」と発言した。麻生太郎副総理は昨年6月、10代~30代は自民党支持率が高いとして「一番新聞を読まない世代だ。新聞読まない人は、全部自民党なんだ」「新聞とるのに協力なんかしない方がいい」と語った。

この麻生氏の発言は的外れとも言えない。新聞通信調査会の「メディアに関する全国調査」では昨年、新聞を毎日読む人は、麻生氏と同じ70代79.3%だったのに対して、18、19歳は5.7%、20代は6.4%、30代は13.0%と低かった。

自民党の支持率は、薬師寺克行東洋大学教授の世論調査を分析したところ、2019年9月調査を境に、年齢に連動した「右肩上がり」から若者と高齢者が高く中堅世代が低い「U字型」に変わったという。

内閣支持率をみると、政治や社会の出来事を知る際、SNSを参考にする層の支持率は48%、新聞と答えた層は32%だったという昨年7月の朝日新聞の調査結果がある。

逆説的に捉えると、若者がより新聞を読むようになれば支持率の動向に影響し、安倍政権の姿勢にも変化が出るかもしれない。アメリカでは、トランプ大統領が嫌うニューヨークタイムズが昨年、電子購読者数を前年比で21%も伸ばし、検討していることも興味深い。

朝日新聞 経済気象台より


ページ・ワン:インサイド・ザ・ニューヨーク・タイムズ
写真:Page One: Inside the New York Times
『ニューヨーク・タイムズ』を1年間追ったドキュメンタリー映画「Page One: Inside the New York Times(ページ・ワン:インサイド・ザ・ニューヨーク・タイムズ)」

監督:アンドリュー・ロッシ
初公開:2011年6月17日

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