写真:反哲学入門 |
同じような発想をした人に、マルクスがいます。マルクスは、「自分の仕事は経済学ではなく、経済学の批判だ」と言います。経済学を生み出したのは、「生産と交換のブルジョワ的様式」つまり資本体制的な経済構造です。ですから、経済学を批判することによって、それを生み出した経済構造を相対化することができ、それを乗り越える視点が獲得できると考えた。むろんマルクスの頭にあったのはイギリスの古典経済学ですが。エンゲルスがそんな風に解説しています。
ニーチェが企てたのも、マルクスと同じような意味での「哲学批判」なのです。哲学を批判することによって、それと一体となって展開されてきた西洋の文化形成を相対化し、批判する。もっとも、彼は「哲学批判」とは言いません。われわれが「哲学」というところを、彼はプラトニズムと言います。しかし、彼がやろうとしているのはプラトン以降の哲学全般の批判であり、これまでの哲学を継承していくつもりのなかったことは間違いありません。
彼の主張を一言でまとめれば「プラトニズムの逆転」ということになります。プラトン以降のいわゆる西洋哲学・道徳・宗教はすべてプラトニズムであり、それをいかに克服するかが彼の課題だったのです。つまり、アンチプラトニズム。「プラトニズム=哲学」と考えれば、ここに「アンチフィロソフィ=反哲学」という概念が誕生したことになります。
ですから、ニーチェ以前と以後を、一本の線で上に並べて連続的に考えようとすれば、なにがなんだかわからなくなるのは、むしろ当然なのです。そして、ニーチェ以後の20世紀の哲学は、望むも望むまいと、「反哲学」という視点を無視することができなくなりました。
(引用:反哲学入門)
ドイツ哲学者フリードリヒ・ニーチェが目指したこと・・・
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