天安門事件から27年 現代中国学より「天安門」についての記述を抜粋

天安門事件27年
写真:(日テレニュース)



平成元年当時、人口13億の約2億人が非識字者、就業人口の約61%が農業従事者。

現代中国学より
 テレビの映像は天安門のデモ隊100万人という。あたかもそれは中国全民衆の意志であるかのように見える。しかしその映像は「都市」の要求であり「農村」のそれではない。学生(エリート)は、都市を占拠し上からの改革を考えていたのだろ。中国政府が農民を愚民と考えているのと同じく、エリートの学生もまた農民を愚民と考えている。 

天安門で政治的要求をする前に、エリートである学生たちには、なぜせめて農村の初等教育を100パーセントにするという地道な報いの少ない仕事から始めないのか。非識字者は、奴隷の思想しか持ちえない。非識字者は自分が生きていける方法を本能的に知っている。それは奴隷のように従順にすることである。それを学生は嘲 笑できるのか。非識字者や大衆も生きていくことにおいて学生と優劣はない。 

学生たちは、自分たちにふさわしい職業や地位を与えよと叫んだ。しかし、それは自分たちの特権や栄達を完全に否定してのものとは思えない。時間がかかり遠まわりかもしれないけれども、まず初等教育を徹底し、全農民が言葉を知るようにするという具体的な努力をしないで、民主化や近代化は絶対成功しないであろう。ことばを知れば、精神の世界が開ける。それがなければ、ただ利益だけで動くであろう。利益の世界となれば、学生は無力である。すると、自分の利益につながるかどうか分からない今回の学生たちの要求を農村の大半の者は理解しえない。つまり、学生たちは農村の支持を得ているのかどうか、はなはな疑問である。 

では、一方の鄧小平たちはどうか。彼らはたいへんなことをしてしまっている。すなわち人民公社(土地の国有化)を解体し、現在は、事実上、自由諸国の農村に近い 。生産をあげて、自分の収入をも得ることができるようになっている。つまり、農村において、事実上、もはや社会主義は崩壊しているのである。(引用:著書/ 現代中国学―「阿Q」は死んだか (中公新書))


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