日本近現代史の知られざる事実、奄美人民共和国憲法草案

奄美大島

奄美人民共和国憲法草案の前文

旧鹿児島県大島群は第二次世界大戦による日本敗北の結果、連合国軍の占領支配をうけ、一九四六年二月二日の極東軍総司令官の命令によって日本本土から分離され、現在アメリカ軍の軍事占領下にある。我々二十二万の奄美大島人民は、日本が受諾したポツダム宣言の厳正実施を熱望し、日本が一日でも早く真の民主主義国家として独立することを念願するものであるが、現時点では明確な予想ができない。そこで我々二十二万の人民は、ポツダム宣言の趣旨に沿って、平和と自由と民主主義の原則を基礎とする独立国家をつくり、占領軍の理解の下に、世界の平和国家の援助を得て、理想的な永世中立国家を樹立して二十二万人民の平和と繁栄をはかりたい。我々は、日本本土がポツダム宣言の誓約通り、真の民主主義国家として再出発した時は、相互理解の上に立って、同一民民族として統合国家または連邦制国家をつくることを究極の目的とする。

行動要綱

①奄美人民共和国政府の樹立
②ポツダム宣言の厳正実施
③奄美人民共和国憲法の制定
④言論の自由、集会、出版、信仰の事由
⑤十八歳以上の男女の選挙権、被選挙権の授与
⑥八時間労働制定実施、労働組合の組織と活動の事由、団体交渉権の確立
⑦小作料の減免と強制供出反対、自主的農民の組織
⑧婦人並び青少年に対する差別反対、同一労働に対する同一賃金
⑨完全な社会保障制度の実施
⑩完全な教育制度（小学校から大学まで無料教育実施）
⑪国有、県有、市町村有地の農民への解放
⑫戦災者、復員兵士、徴用兵士、徴用解除者、ならびに戦没者、在外兵士、勤労同胞の遺族に対する日本政府の賠償支払
⑬日本に人民共和国が成立した時には、日本共産党の組織に合流する

引用元：書籍　奄美戦後史