新しい資本主義

資本主義の中身は産業革命のたびに変わってきた。

商人が商品を仕入れて売りさばく商業資本主義から産業資本主義へ。金融資本主義を経て、AI(人工知能)が重要な役割を果たすAI資本主義を迎えようとしている。

AI資本主義は、世界をどう変えるのか。AIによるさまざまなデータ分析や判断が、ビジネスをめぐる意思決定をすることになるだろう。

利用が想定される分野は、路線バスの自動運転から、銀行の融資判断、医療現場まで幅広い。

AIの能力は、多くの分野で人間を超えると想像されている。知的な労働を人間から排除する恐れがある。ユヴァル・ノア・ハラリが世界的なベストセラーになった「サピエンス全史」で指摘しているように。

高度なAIを開発した人や活用できる人が利益を総取りする。そんな「ウィナー・ティクス・オール」が、まかり通ってしまうかもしれない。

ここ数十年、英米やカナダといった国々では、ごく限られた富裕層の所得の、国民全体の所得に占める割合が急激に高まっている。

格差問題はすでに深刻で、日本でも懸念されているが、勝ち負けをはっきりさせるAI資本主義は、格差を助長しかねない。

確かにAIは便利であり、人間にはできない部分をカバーするために使っていくことは必要である。

ただ、どの部分をAIで補うか熟慮すべきであり、人間がAIに使われるような事態はもってのほかだ。

多くの人々が広くメリットを享受できるようにすることが大事だ。

それは、人類が将来生き残っていけるかどうかという大きな問題なのかもしれない。

ソース元:朝日新聞 経済気象台より(2019年1月29日)

サピエンス全史
(写真:サピエンス全史(上)

私たち現生人類につながるホモ・サピエンスは、20万年前、東アフリカに出現した。その頃にはすでに他の人類種もいたのだが、なぜか私たちの祖先だけが生き延びて食物連鎖の頂点に立ち、文明を築いた。40歳のイスラエル人歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』は、この謎を三つの重要な革命──認知革命・農業革命・科学革命──を軸に解き明かす。

(引用:サピエンス全史(上)
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