マザー・テレサの父について

マザー・テレサがカトリック教会の「聖人」に
写真(NHK)マザー・テレサがカトリック教会の「聖人」に
代々ビジネスを営んできた彼女の父二コラ・ボヤジュはスコピエに来て、町の建築家と組んで建設業に乗り出した。

ビジネスは成功し、彼の会社は町でも有名になり、最初のスコピエ劇場の建設を請け負うほどに発達していった。スコピエで事業に成功した彼は、多くの市民の支持を得、政治にも参加するようになり、スコピエの市議会にも選ばれた。

語学にも堪能で、母国のアルバニア語以外にセルボ・クロアチア語、トルコ語、イタリア語、そしてフランス語など数カ国語を話すことができた。さらに彼は持ち前の才能を生かし、一人のイタリア人と手を結び、貿易の事業をはじめた。砂糖や調味料、衣服や革製品、装飾品などの輸入卸業にたずさわり、エジプトを始めいろいろな国に出張することが多かった。仕事の旅から、彼は子供たちにたくさんのお土産を持ってきた。そしていろいろな国の話を聞かせ、家族を楽しませる人だった。

二コラはまた、町のブラスバンドの一員であり、人生を満喫しているかのように歌うことの好きな人だった。友人のが多く、いつもお客さんの絶えない家だった。彼らは熱心に、政治について語り合っていた。

子供もたちの教育にはとっても関心が強く、高い水準を要求する人だった。そして人生観や道徳観には非常に厳格で、誰の子どもであるか、自分がどんな背景があって生きていられるか、人の恩を決して忘れてはいけないと、子供たちに教える人であった。

また敬虔なカトリック信者であると同時に、非常に情熱的なアルべニア愛国主義者でもあった。そのことが後に、ボヤジュ家に取り返しのつかない悲劇をもたらすのであった。
(参照:マザー・テレサの真実– (著)五十嵐 薫

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