(写真)考えることの科学―推論の認知心理学への招待 |
多くの人は、A君の進む数が、平均的に2:1であることから、勝つ回数の比も2:1くらいであろうと判断してしまいやすい。そこで、「A君が600回勝ち、B君が300勝ち、引き分け分けが100回くらい」というような答えが典型的である。また、ちょうど2:1とまではいかなくとも、かなり2:1にひきずられた判断をしがちである。実際には、B君の勝回数はきわめて少なく、「A君940回、B君15回、引き分け45回」くらいなのだ。ゴールまでの回数が長くなると、大数の法則によって、偶然のおかげでB君が勝つ回数はますます少なくなる。
この問題で使われるヒューリスティックを私は、答えの転用と呼んだ。つまり、「求める答え(ここでは、勝つ回数の比)に影響すると知覚される値(ここでは、出た目を何倍するか)が見つかると、その値を即刻答えに置き換えてしまう」というやり方である。「アンカリングと調整」に似ているが、進む回数の比という全然異なる尺度にしてしまっているのは、より大胆な推論である。
これにひかからなかった人には、次のような「難問」もある。
不公平なスゴロクの追加問題
A君が2個のサイコロを同時にふって、その目の和だけ進むことにルールを変えた。A君の勝回数は、「1個ふって2倍」のときに比べて、より増えるか、より減るか、あるいは、変わらないか。
これは、大学生の解答者でもほぼ三分された、「より増える」という正解を出した人にしても、理由を明確に言えることはごく稀である。「変わらない」という人の証明は、「2倍でも2個でも、平均(期待値)は7で同じだから」というものであるが、平均値のバラツキ(分散)が小さい「2個」の条件のほうが、たまたまB君に負けることが少なくなり、統計的にはますます有利なのである。コンピューターの授業の中で、乱数を使ったシュミレーションのプログラム課題としてよくとりあげたことがある。実をいうと、シュミレーションをしてみるまでは、私も期待値だけに目を奪われて、2倍でも2個の和でも同じだと信じていたのだった。
参照(考えることの科学―推論の認知心理学への招待)
ヒューリスティック(英: heuristic, 独: Heuristik)とは、必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法である。ヒューリスティックスでは、答えの精度が保証されない代わりに、回答に至るまでの時間が少ないという特徴がある。主に計算機科学と心理学の分野で使用される言葉であり、どちらの分野での用法も根本的な意味は同じであるが、指示対象が異なる。すなわち、計算機科学ではプログラミングの方法を指すが、心理学では人間の思考方法を指すものとして使われる。なお、論理学では仮説形成法と呼ばれている。(wiki/ヒューリスティクス )
アンカリング(英: Anchoring)とは、認知バイアスの一種であり、先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向のことをさす。係留と呼ばれることもある。(wiki/アンカリング)
知らなきゃ損するゲーム攻略必勝法、不公平なスゴロクゲームの問題
Reviewed by 管理人
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