〚4次元探索〛研究者「余剰次元が見つかったとしても私たちの生活が豊かになるわけではありません」

未知の力の探索
写真:(Twitter)@J_PARC
研究者からひとこと: たとえ余剰次元が見つかったとしてもすぐに私たちの生活が豊かになるわけではありませんが、未知なる次元の存在というのは私たちの時空の構造の理解を大きく変革するため、とても魅力的な実験だと思っています。

(引用:PDF:PRESS RELEASE九州大学

九州大学先端素粒子物理研究センターの吉岡瑞樹准教授らのグループは、高エネルギー加速器研究機構、名古屋大学、大阪大学、インディアナ大学との共同研究により、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設(J-PARC)注1)のパルス中性子源注 2)を用いて、原子の大きさ程度の距離に働く未知の力の探索を行いました。

2つの物体の間に働く力には、いわゆる万有引力や電磁気的な力の他に、原子核をつなぎとめる力、原子核を崩壊させる力の、合計 4 種類が存在していることが知られています。

一方で、私たちが生活している空間は、縦横高さの 3 次元から構成されていますが、ミクロなスケールでは 4 次元以上の空間(余剰次元注 3))の存在の可能性が理論的に示唆されています。もし、そのような余剰次元が存在するとなると、極めて近い距離に置かれた 2 つの物体の間に、4つの力では説明できない強い力が働くと予測されますが、これまでそのような力が働いている様が実験的には観測されたことはありませんでした。例えば原子の大きさ程度の距離(0.1 ナノメートル注 4))では、ニュートン重力の 100 垓注 5)倍以上の強い力すら見つけることができていませんでした。

今回研究グループは、中性子と希ガスの原子との間に働く力を探索しました。J-PARC の世界最高強度のパルス中性子ビームを用いることで、原子の大きさ(0.1 ナノメートル)の距離の領域において、未知の力の探索感度を従来の同様の実験に比べて 1 桁向上させることに成功しました。

研究グループは現在も探索感度のさらなる向上を目指して実験を続けており、今後も余剰次元の探索領域をより広げていくことが期待されます。

(引用:PDF:PRESS RELEASE九州大学

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